指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

老いの兆候。

 愛用してるキーホルダーは横浜だったかどこだったかの地下街にある雑貨店で買ったもの。真鍮のような黄金色のリングに幅一センチ弱長さ五センチ程の木の札がついていてアルファベットがひと文字刻印されている。それは自分の名前の頭文字を選んだ。木の札なんてすぐ駄目になってしまうだろうと思っていたけど結構長いこと使っている。ブログで確認するともう十年以上経ってるようだ。ついこの間買ったばかりのような気がするのに。そこに家の鍵と塾の鍵をつけている。もうひとつちっちゃな鍵がついているんだけどなんの鍵だったか忘れた。それを普段はズボンの左ポケットに入れておく。たいていのズボンには左右のポケットがついてるので違うズボンに履き替えてもルールを変更する必要はない。左ポケットには必ず鍵とそれからハンカチが入っている。でも寒い時期になってコートの出番ということになるとズボンのポケットでは鍵の出し入れに不便だ。なのでコートの左ポケットがそれに取って代わる。なぜ左なのかと言えばどこかの段階で自分でそう決めたんだろうと思われる。右だって別によかったんだろうけどとにかく自分ルールで左に決めたような気がする。重要なのは右であるか左であるかではなくどちらかに決めることによって鍵をなくさないようにすることだ。以来左ポケットが鍵とハンカチの住処となった。決めたのは子供の頃だったような気もする。その鍵が昨日昼寝の後塾に行こうと家を出ようとしたときに見当たらなくなっていた。バイトから帰ったとき自分で家の鍵を開けたのでどこか外でなくした訳ではない。でも帰宅するといつもそこに鍵を置いとく場所にはない。バイトに着て行くアディダスのジャージの左ポケットにも入ってない。念のため右ポケットも確かめたけどない。塾に履いて行くチノパンのポケットにもない。ダッフルコートのポケットにも入ってなかった。さすがにこれは初めてのケースで進退窮まった。時間も迫ってるのでとりあえず家人に鍵を借りて出かけた。塾に着いてコートを脱ぎどういうきっかけだったかパーカのポケットに手を入れるとそこに鍵が入っていた。出がけで急いでたので鍵を手に取りパーカのポケットにとりあえずそれを収めたらしいが記憶がない。こういうことが本当に多くなってきていて自分ではそれを老いの兆候と考えている。いちばんよく見当たらなくなるのはスマホだ。どこかに置いたはず(当たり前だ)なのにどこに置いたか覚えていない。いけないのは「とりあえず」という行動パターンのように思われる。自分ルールにいつでも従っていればいいものをとりあえずという形で例外的な行動を取るからそういうことになる。でもこの考えなしにとりあえずの行動を取ることがこのところ多くなってきた気がする。もしかしたら自分を律する力が衰えて来たとかそういうことなのかも知れない。それと記憶力の減衰だ。いずれにせよ時間はもったいないし心理的なショックもそこそこ受けるしストレスもかかるしするからもう少し慎重に事に当たる必要がある。けど具体的に何にどう気をつけたらいいのか今のところ頭を悩ませている。
 今日のスイムは腰痛のためお休み。でもバイトと塾はなんとかこなす。