指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

この前の続き。

The Art of Kveta Pacovska

The Art of Kveta Pacovska

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 三月二十日水曜日祝日の午後のお話の続き。家人が前から行きたがっていたチェコスロヴァキア関連の商品を扱うハーチェクというお店に行ってみることにした。蔵前ということでJR総武線の駅だと思って総武線に乗ったらこれは僕の記憶違いで総武線に蔵前という駅はない。あわててひと駅だけで下りてYahoo!の乗換案内で検索し事なきを得た。都営浅草線蔵前駅から行くと結構距離がある。立地も初めてだとわかりづらいかも知れない。雨上がりの暮れゆく空が美しく風は冷たい。店に入ると床がいきなり小上がりみたいになってるのでてっきり靴を脱いで上がるのかと思ったら店員さんにそのままどうぞと言われる。店は吹き抜けになっていて階段を上ると広めのキャットウォーク状の二階に出る。一階は雑貨やアクセサリーなど二階は書架があって絵本などが並ぶ他ソファーなんかも置いてある。雑貨屋と聞いてたので絵本があったのは僕にとってはうれしい驚きだった。それほど時間がなかったので全部をじっくり見ることはできなかったけどひとりだけなじみのイラストレーターを見つけることができた。クヴィエタ・パツォウスカー。新鮮な赤色を多用する本当にオリジナルな絵柄の人で初めて知ったときにはもう相当なおばあちゃんだったのですでに物故されてるかも知れない。マイケル・ノーゲバウアー・ブックという確かドイツの出版社から出てる英語版の「The Art of Kvieta Pacovska」を持ってる。その他にもあれ買っときゃよかったなと後悔してる絵本が何冊かある。谷川俊太郎さんが訳されて何かの賞を取った「まよなかごっこ」(英題は「Midnight Play」。原題は知らない。)もそのうちのひとつ。チェコスロヴァキアの人だということは知ってたと思うけど忘れてた。お店には彼女の作品も何点かあって初めて見るものばかりだった。でもなんか旧知に久しぶりに出会えたような気がしてうれしかった。それからひと目ぼれしたのがPETR DENKという人のたぶん子供向けの詩にADOLF ZABRANSKYという人が挿絵をつけた「DO KOLA」という一冊。写真でご紹介できないのが残念だけど表紙の裏のページってなんて言うんだっけ見返しだっけ小口だっけとにかく表紙の裏の挿絵がものすごく美しくて表紙はもとより中の挿絵も本当に味わいがあるものばかりだ。ぺらぺらめくってるうちにこれは買わなきゃならないと思っていた。もとより文章はまったくわからない。でも構わない。そういう絵本と出会うということは一生のうちでそう何度もあるもんじゃない。これだけ胸が震えたのはアメリカのブックフェアで「Mr.Lunch Takes a Plane Ride」を見つけた時以来かも知れない。こんな美しい絵を描く人がいるんだとえらく興奮したのを覚えている。後でマックを使って描いてることを知ったときはコンピューターというのはすごいなと感心した。今の半分くらいの年齢でまだパソコンなんてほとんど使えなかった頃の話だ。という訳で六千円近くするその本を一応家人に相談して春期講習の受講料で買うからということで承諾してもらう。うちに帰って一ページ一ページ丁寧に眺める。そういう時間というのが生活の中には必要だと改めて感じる。以上が予告したのに書いてなかったお話。

 今日のスイムは33分17秒で千メートル。相変わらずなかなかタイムが縮まらない。でも金曜土曜と二日連続でラストまでバイトした後昨日もラストの一時間前までバイトでその疲労度を考えに入れるとまあまあなのかも知れない。実は最初思ったより調子がよくていつもは五十メートル毎に休むところを百五十メートル一気に泳いだ。その後も百メートルのラップが一回あってこれは三十分切れるんじゃないかと思った。実際半分の五百メートル泳いだ段階で15分8秒しかかかっていず三十分は無理としても単純計算では30分16秒で泳ぎ切れるはずだった。でも調子に乗った分後半に疲れが出て一回一回のお休みが割に長めになってしまった。ペース配分というのはなかなか難しいと改めて痛感。泳いだ後はいったんプールから上がってプロテインを飲みまたプールに戻って潜水したりウォーキングしたりする。帰宅後シャワーを浴び朝食をとってしばらく休んでから(眠くて気が遠くなった。)雨が降ってたので遠出はやめて家人と一番近いスーパーへ行き昼食と夕食とアルコールとアテを調達。帰ってくるともう一度シャワーを浴びて飲んで食べて昼寝。森見登美彦さんの「シャーロック・ホームズの凱旋」が届いたと図書館から通知が来てたので夕方の塾の空き時間に取りに行った。リクエストしたときには結構な人数待ちでしかも蔵書が一冊もなかったのでいつになることやらと特に期待もせずに待ってた。ところが区が十冊以上購入してくれたおかげで人数待ちはあっという間に解消されて思ったよりずっと早く順番が回ってきた。明日から春期講習があるので泳ぎに行く時間帯をいろいろ調整しないといけないかも知れない。とりあえず明日の朝は泳ぎに行く時間がない。
 僕が通ってるプールは晴れた日だと窓からまだらに日が差し込むことがある。泳いでいて日に照らされたところを通り過ぎるときの水中がとても美しくて好きだ。まるで腐海の底を照らす光の束の中を横切るかのようだ。おそらく僕のことを取り上げて下さったブロガーさんがいらしたのでとても共感しているということをひと言申し述べておきたかった。こんな辺鄙な場所に位置するブログでもどなたかの心に少しでも残る何かを持ち合わせてたとしたらそれは望外の喜びということになる。