指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

春期講習が始まった。

 今日から春期講習が始まった。二週間ほどの日程だ。そのうち四、五回ほど授業の始まりが早いせいで朝は泳ぎに行けない日がある。初日の今日もそうだった。その場合でも十一時前には授業が終わるのでそれから泳ぎに行くことができる。以前はその時間帯にバイトを入れていた。でもそれだとさすがに体がきついので今回は入れないことにしている。その代わりという訳じゃないんだけど夜バイトには入れる日はできるだけ入る。がんばりすぎると体が保たないし楽しすぎると生活ができない。今日は講習後に家人と買い物に出かけることにしてたので十一時台のスイムは諦めるしかなかった。ただ生徒さんの欠席のために夕方の授業の開始がいつもより一時間近く遅くなったのでその時間に泳ぐことにしていた。そんな時間にプールに行くことはたぶん一年以上なかったので混んでるのか空いてるのかまるで見当がつかない。でもまあその時間しか行けないのならしかたない。雨がひどかったので買い物は比較的近い駅前で済ますことにして例によって昼食とアルコールとアテを買って帰る。飲んで食べて昼寝した後仕度をしてプールに出かける。泳いだ後できれば一回シャワーを浴びに帰宅したいところだけど混んでて泳ぐのに時間がかかった場合は直で塾に行くこともできるように二段構えの用意をする。プールは春休みの小中学生向けのスイミングスクールが行われていて何コースか使えなかった。でも残りの使えるコースは結構空いていた。そのうちのひとコースの飛び込み台の下でおじさんがひとりとおばさんがふたり長いこと談笑していた。そのコースで泳いでる人は他には誰もいない。それはかなりハードに泳ぐ人のためのコースでそのスタート地点に三人もたむろしてた日にゃそのコースを使うのにふさわしいスイマーが入って来るのを事実上妨害してることになる。そういうときにコースを空けるよう注意するかどうかは監視員によっても意見が分かれるところだ。見て見ぬふりをする人もいるしそもそも初めっからそんなのに気づかない人もいる。もちろん一定の時間が経った後に注意しに行く(僕に言わせれば)優秀な人もいる。あの人たちなんとかしてよと他のお客さんからクレームを受ける場合もある。僕はその隣のコースで泳ぎながら三人の動静を密かにうかがっていた。でも監視員は注意しに来ないし誰も泳いでないコースはもったいないしで若干頭に来たのでそのコースに乗り込んで行った。するとおばさんのひとりが僕が泳ぐのを促すようにどうぞとか言ったんだけどどうぞと人に言う気があるんだったらその前に談笑の場をプールサイドに移してくれよとむかっ腹が立って返事もしないで泳ぎ始める。相変わらずの野良スイマーだけど毎日千メートル泳いでるので少しは実力もついて来ている。何回かターンしてるうちにおばさんふたりは早々にいなくなりひとり残って急に泳ぎ始めたおじさんもやがて別のコースへと姿を消した。プールには社交の場という側面が確かにあるしそれを否定する気はさらさらない。でもプールサイドまで含めればプールという場所は結構広いので泳がないんだったらプール内のしかもいちばんうまい人たちが泳ぐコースを独占して欲しくない。そのコースで泳いでるお前はそんなにうまいのかと言われると答えに窮するけど。という訳でいろいろな葛藤を抱えつつ泳いだ今日のタイムは36分46秒で1,025メートルと目標には遠く及ばない。まあでもお客さんのいる環境ではそう思いのままにはならないのでしかたないんじゃないかと思っている。やはり朝早く起きて誰もいないプールを独占するぜいたくにはかなわない。今日はスイム千メートル読書百ページブログ千字の三冠をたぶん達成できたと思う。久しぶりの快挙。