指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

readingMLの閉鎖。

昨日、Yahooのeグループを利用して運営してきた、読書がテーマのメーリングリスト「readingML」を閉鎖した。2000年の6月に開始したらしいので、丸5年経つことになる。最終的に160人あまりのメンバーがいた。

実はこのメーリングリスト(以下ML)には前身があった。僕より随分年下の、ちょっとカリスマがかった男の子が主催していて、活動はかなり活発だった。三日とおかずに必ず投稿する常連がいたり、たまにオフ会が催されたり、主催者やメンバーの誰かがお題を振るとそれにメンバーの多くがレスを書いたりして、何というか一体感みたいなものがあった。僕としては初めて参加するMLではあったし、おもしろかったけど勝手がわからないことも多かった。だから過剰にソフトで玉虫色な投稿を心がけたつもりだったんだけど、誰からもレスがもらえないことが結構多かったように憶えている。

一度、新宿で開かれたオフ会に行った。15〜6人が集まった。主催者のちょいカリスマ君も来ていた。全員の腰が引けているのがわかったので、自己紹介のトップを引き受けることにした。「ハンドルネームえへこと**(本名)です。」と言うと、場が騒然とした。ハンドル以外の名前は言わなくていい、ということだった。よくわからなかった。こうした集まりでは、ハンドルネームを音読するのか?つか、それでは今目の前にいてこれから話を聞いてもらおうという相手に、本名も教えてはいけないのか、この集まりは?

そうらしかった。なんか、「アリスさん」とか「スター・ウォーズさん」とか「ゾムさん」とか、出所も目指す場所もよくわからないハンドルが音声化されてそれでも場は結構盛り上がっていた。でも、僕は自分が「えへ」と呼ばれることに最後までなじめなかった。それはハンドルであり、あくまで文字なのだ。それは音読される名前ではないのだ。

その後、ちょいカリスマ君とも話したのだが、何を話したかは秘密。

それからしばらくして何の前触れもなく彼はMLを閉鎖したいと言い出した。まあエキセントリックな子だったしね。投稿も頻繁にあったし、そのMLはまだ命を長らえるべきだ、今なくなるのは突然死みたいなものだと思ったので、じゃあ自然死と思えるくらいまで僕が引き継ごうと申し出て引き継いだ。

それから早5年。よくも5年も続いたと思う。管理者としては何もしなかった。どんな企画も立てず、どんな一体感も無視した。新しいメンバーが加わり、古いメンバーの多くがいなくなった。でもメンバーが増えようと減ろうと、管理者として何もしない、というのは最後まで貫けたと思う。もともとMLの自然死が目標なのだ、メンバーが減ったって別に構わない。

それでも最終的に160人あまりのメンバーがいたことは心から不可解だ。いくらサイレントマジョリティーったって、サイレントすぎるよ。これなら「アリスさん」「えへさん」と相互に呼び合う一体感の方がマシか?いや、それぞれがそれぞれの判断で何もせず、しないことによって我らがMLを閉鎖させた、サイレントなみなさんの方が、ずっといいと思います。