指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

眠り続ける子供。

3年前、1歳4ヶ月のときに子供は小児喘息と診断されて入院しそれ以来オノンという薬を飲み続けている。ただひどい風邪をひきこまない限り発作は起きない。いろいろ話を聞くと、おそらく喘息としてはかなり軽い方なのではないかと思われる。また幸いなことにインフルエンザにも一度も罹らずにここまで来た。
それでも年に一回か二回は風邪をひいて熱が出る。夜中にあまり咳き込むと親の方が狼狽してしまって救急の診療を受けさせに行く。そんなことがこれまで数回あったが、喘息の発作だったことは一度だけだった。後は単なるひどい風邪だ。喘息の発作にはぜい音という独特の音が呼吸に混じるという。しかしこのぜい音が聞き分けられない。呼吸が苦しそうであまり咳が出ると、それだけで喘息の発作を疑ってしまう。そして大事をとって夜中にタクシーを拾うことになる。
ここ一週間ばかり例によって子供が風邪をひき一時は39度近い熱を出した。咳も随分出て夜は30分ごとに目を覚ますほどだったが、何となく喘息を疑う必要がない気がして医者にも連れて行かなかった。というのもかかりつけの医者で風邪の薬を処方してもらっても目に見える効き目があったことがこれまで一度もなかったからだ。そうして咳や鼻水が完全に収まるまでに2〜3週間かかるのが常だった。それならインフルエンザに罹る危険を冒してまで医者に連れて行く必要はない。そういう判断だ。
でも手をこまねいて見ているわけにも行かないので、家人が市販の風邪薬を買ってきて飲ませた。これが驚くほどよく効いて、ほぼ一日で熱が下がり三日後には外に出られるようになった。悪いけど医者の処方薬などとは桁違いの効き目だ。ご紹介しておきたい。「Bufferin キッズバファリンかぜシロップ」。生後三ヶ月から飲めるらしい。もっと早く気づけばよかった。ちなみにバファリンとも発売元のライオン株式会社とも特に縁故のようなものはない。キックバックがもらえるあてもない。
回復しつつある子供はここ二日ばかりものすごくよく眠る。朝も起きるのが遅いし、昼寝も長いそうだ。眠り続ける子供を見ていると、回復期という言葉の意味をしみじみ感じる。子供は子供なりにひとつの戦いを終えて、深く静かに休息しているのだ。
しかし子供の風邪がうつったらしい僕は今日は熱が出て会社を休んでいる。僕の風邪が子供にうつることはほとんどないが、子供の風邪はこれまでほぼ100パーセント僕にうつる。ひとり家人だけが泰然としているが、これは本当にありがたいことだと思う。