指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

ベッド本。

人生を歩け!

人生を歩け!

食事の後や入浴後に子供のいる居間ではなく寝室の方でひとり静かに休みたくなることがある。そのときに何か読むものがあるといい。いつ時間が寸断されてしまうかわからないので小説ではちょっとまずい。軽めのエッセイとか興味のある作家を特集した雑誌などがすごくふさわしい。
「人生を歩け!」は割とハマってつづれ織りのような時間を使いながらも一週間くらいで読み通した。よく考えると狙いがつかみづらい本だけど、読んでて楽しい。あまり構えずに交わされた対談が収録してあるので、エッセイ以上に町田さんの本音が聞けるような気もする。
今は「文藝」誌の高橋源一郎さんを特集した号を読んでいる。
それで思い出したんだけど、土日でかなり仕事をしたので金曜日に休暇をとった。新しい社長から名指しで有休をとるよう指示されたので、さすがにちょっとまずいかと思ってのことだった。子供は幼稚園だしどこかへ行くとかいう計画のためではなく、ただのんびりするためだけの休暇だ。
9時に子供を幼稚園に送り終えると、その帰り道から本当に何もやることがなくなった。うちへ帰ると家人とふたりだけで、実は家人とふたりだけでうちにいるというのはほとんど5年ぶりのことだった。それは何だか変な感じだった。何となく照れくさいような、でもすごく自由で幸せなような、そんな気がした。
子供が帰ってくる午後1時半まではきっちり時間が空いている訳だからゆっくり小説を読めばいいのに、何となく心が落ち着かずふたりでここまでの長い時間を振り返ったりした。それから開いたのはベッド本だった。本の切りのよいところで「MOTHER3」を買ってあったことに気づいておもむろに始めたりした。
今までのことを思えば贅沢すぎる時間を、どうにも持て余していることになると思う。徐々に慣れて行き、子育てと仕事以外のことにも、もっと本腰を入れたい気がしている。