![うわさのベーコン うわさのベーコン](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/517JJBDSGTL._SL160_.jpg)
- 作者: 猫田道子
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2000/02
- メディア: 単行本
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表題作の他に「西山さん」、「正一新聞」、「卯月の朝」の全部で四編が収録されている。そして四編が四編ともちょっと変だ。その筋では有名らしい誤字脱字やおかしな敬語の他、常体と敬体の混淆も他の作品ならそれ自体が問題となることはあまりないと思うけどこの作品ではちぐはぐな感じを抱かせる。書き手の感情が小さく破裂しているような悪態に似た言い方が唐突に現れ、この書き手(作者ではなく。)は何かバランスの崩れたところを精神に秘めているんじゃないかという気がして来る。
でもよく読むとその中に描かれているのは、失恋や報われぬ愛や場合によっては強姦事件などシリアスなテーマばかりで、それらはこの独特な文体にもぶれることなくあるべき存在感を保って作品の底に横たわっている。そしてそれが無ければ作品が成り立たなくなってしまうような大切な要を成しているように思われた。
ところで著者近影なんだけど表情と言い置き所と言い、これも作者のねらいのひとつなんだろうか。だとしたら恐いほど効果的なような気がするんだけど。