指栞(ゆびしおり)

すまじきものは宮仕え。

「女の本性は龍なのだ。」

単行本「手」を文庫化に当たって改題ということだ。作者の作品にはこういうことがあって文庫版の「「ジューシー」ってなんですか?」は単行本「ここに消えない会話がある」を改題したものだ。そういうことになる理由は作者自身がどこかで触れていたと思う。エッセイ集「指先からソーダ」の中だったかな。だから旧作を追いかけて読むなら、この辺にも気をつけておかないと同じ作品を別の作品だと間違える恐れがある。
収録された四編の内、二編目の「笑うお姫さま」は作者には(おそらく)珍しい寓話のような作品になっている。主な登場人物は「王」と「女」だ。だから作中の言葉「女の本性は龍なのだ。」は作品に出て来るその「女」の本性が龍だったという意味にも取れるけど、一般化してしまってどんな女であっても女というものの本性は龍だと言っているようにも取れる。すると一編目の「手」、三編目の「わけもなく走りたくなる」の語り手の像がとてもくっきりするように思われる。彼女たちは本質的にとても強い。
ただ表題作「お父さん大好き」は主題が異なっている。いや、やっぱりひとり「龍の女」が登場しているかな?それでもおそらくこれは絶望の中にも光を見出す前向きなお話だと思う。他の三編も前向きだけどそれとはまた違った意味で。