指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

雨の朝。

一昨日だったか、雨の朝子供が登校して行くのをベランダから見送っているときに、子供がきちんと傘をさしていることにふと気づいた。幼稚園の頃傘のさし方がわからなくて野球のバットを握るみたいに傘の柄を両手で握りしめていたことがあり、何度直しても幼稚園に着くまでにびっしょりになった。だから雨の朝は傘を持たせた上にレインコートを着せて行き、さらに靴下とかズボンとかの替えを用意して、幼稚園の玄関で履き替えさせることにしていた。数えてみると、それからもう三年が経つ。不器用に傘を握る子供の姿を、大げさでなく昨日のことのように思い出すことができるのに。