指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

子供が二度泣いた。

昨日の夕方近くの公園から帰って来た子供の目が赤かったのでどうしたのか尋ねると、友だち同士のけんかを仲裁しようとしてぶたれたと言う。カードゲームをやっていたらA君が理由は不明なものの突如切れて、B君のカードを奪って逃げて行った。B君はA君に追いついてカードは返してもらったがA君はB君を殺してやると激昂、首を絞めたりぶったりし始めた。あとふたりの友だちとうちの子がA君を押さえつけてB君を助け出し、その際三人ともA君にぶたれたが、B君にすぐに家に帰るように促しB君は帰って行った。その後公園の管理人さんみたいな人が騒ぎを聞きつけてやって来たが、それに気づいたA君は自転車に乗って逃げ出し残った三人で事情を説明して帰って来たということだった。B君を救って帰らせたのはとてもいい判断だし、勇気も要ることだと思ったのでそういう風に言って誉めたら、ほっとしたのか子供が泣き始めたので抱きしめてやった。
それと、昨日は退職のことを子供に話そうと前々から決めていた日だった。さすがにもう隠しておく訳には行かない。パパの会社無くなっちゃったんだと言うとパパはリストラされちゃったの?と訊くので、そうだけど今すぐ生活ができなくなるものでもないし、できればお前が小学校を卒業するまではここにいたい。そのためにはママも働くことになるかも知れない。でももしパパの次の仕事がなかなか見つからなかった場合は、東京は家賃も高いしどこか地方に引っ越すかも知れない、と、今考えてることをそのまま正直に伝えた。子供が抱きついて来て泣いた。ごめんな、と言うと、でもすぐに気を取り直して泣きたいのはパパの方だよね、ふたりが働くなら僕、やろうと思えば料理だってできるよ、と言う。僕よりよほどしっかり受け止めているみたいだ。