指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

「村上RADIO The Beatle Night」。

 僕がいちばん好きなビートルズ評は「ノルウェイの森」のレイコさんのものだ。「この人たちはたしかに人生の哀しみとか優しさとかいうものをよく知っているわね」「ノルウェイの森」を初めて読んだときにどれくらいビートルズの曲を知ってたんだろう。オリジナルアルバムをほぼ全部集めたのは塾を始めてからだからずっと後のことになる。でも本を初めて読んだとき改めて「ノルウェイの森」を聴こうと思った記憶がないので少なくともこの曲他数曲は知っていたんだろうと思う。村上さんの「ノルウェイの森」を読むのにビートルズの「ノルウェイの森」を知ってる必要があるか。ないんじゃないかと思う。今思うと直子が亡くなった後のワタナベ君とレイコさんのふたりだけのお葬式でレイコさんがビートルズのナンバーをギターで何曲も弾いた中の一曲にこの曲があったという以上の意味はこの作品のタイトルにはないんじゃないかという気もする。じゃあこの作品のタイトルは「エリナー・リグビー」でもよかったのかと言えばまあそれでもよかったんじゃないかな。いややっぱ「ノルウェイの森」が絶妙かな。とやはり村上さんとビートルズと言えば「ノルウェイの森」の話になる。
 この番組はビートルズに対する他のアーティストのカバー曲がメインで構成されている。でもカバー曲を聴くとやはり原曲が聴きたくなる。またそれと矛盾するようだけどカバーにするとより一層原曲のメロディーのすばらしさが際立つ気もする。それとDo You Want to Know a Secretがジョージ・ハリスンのヴォーカルだったとは知らなかったな。ジョン・レノンかと思ってた。