指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

カレーにはまる。

 このブログを2006年までさかのぼると「いつものカレー」という言い方でうちの割に近くにあったインド料理屋さんのことが触れられている。もう十五年以上前の話だ。子供がまだ幼稚園へ上がる前近くの公園で毎日必ず二時間ぴったり遊ばないと気が済まない時期があった。雨さえ降ってなければ照る日も吹く日も計ったように二時間ぴったり遊ぶ。それ以下の時間で帰ろうとするとすごく怒る。週日は家人がそれにつき合う。そして休日の担当は僕だった。特に相手をしてやる必要はない。ひとりで遊んでるのでただ危ないことがないか見守っていればいい。でもその二時間は本当に長かった。余談なんだけど幼い子供というのは自分の親を試してるんじゃないかと思うことがある。自分がどれだけ無条件に親に受け容れられているか子供は見極めてるんじゃないか。その見極めに合格するとそれから後の子育てはすごく楽になる。子供の方も無条件に親を信頼することができるからだ。合格しないと思春期とかで親子関係がこじれる。そのときはそんな構図を無意識に描いていたし今もそれはそんなに間違ってないんじゃないかと思っている。実際うちの子はその後すごく手のかからない子供になったし。でも今日のメインの話題はそれじゃなくてその頃大げさでなく心の支えになっていたのがそのインド料理店のテイクアウトのカレーセットだったということだ。この二時間を乗り切れば子供はおとなしくどこにでも着いて来てくれたし遠回りしてカレーのテイクアウトを買いに行っても特に愚図ったりはしなかった。お店のおばさんに気に入られて毎回マンゴージュースをサービスされたりして今でも子供はマンゴージュースが好きだったりする。このカレーセットでビールを飲むのが僕にとっての土日の昼のご褒美だった。セットの内容はカレーが二種類にお茶碗一杯くらいのサフランライス、大きめのナンそれにタンドリーチキンがひとかけら。カレーはいくつかの中から選べていつもチキンとシーフードを頼む。ナンとシーフードカレーとタンドリーチキンでロング缶を二本飲み(と書いてて若かったなあと実感する。今はそんなに飲めない。)ほろ酔いになったところでシメのサフランライスをチキンカレーで食べる。どれも本当においしい。でもこのお店はそれからほどなく閉店してしまう。それから我々はこの店のようなおいしいカレーを求める旅に出ることになる。あくまで形而上学的に(嘘)。この項いつか続きます。