指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

ドレッシングについて。

 ドレッシングというものが実家の食卓に現れたのは僕が子供の頃だったからもう半世紀くらい前だと思う。記憶が確かならマコーミックのフレンチドレッシングが最初だった。セパレートタイプと言って瓶の中で二種類の異なった色の液体がきれいに分かれて入っていた。そのビジュアルが子供心にとても不思議だった。今なら比重の異なった液体が入っているだけなんだなとわかる。でもそのときはこれは一体どうなってるんだろうと思った。もっと驚いたのはこれがサラダを感動的においしくするということだった。キャベツの千切りにもレタスにもトマトにもキュウリにもとにかく生野菜なら何にでも合った。それまでは生野菜と言えばたとえばキャベツならソースかじゃなければせいぜいマヨネーズをかけて食べていたのを根底から覆された感じがあった。それから幾星霜経ち今個人的にいちばん気に入ってるのはキューピーのイタリアンドレッシングだ。スパイスが底に沈んでてちょっと辛いと言えば辛い。家人は辛すぎると言うんだけど僕は元々辛いものが好きなのですごくおいしいと思って愛用している。それで何が言いたいのかと言うと寝酒のときアテは口にしないのが結婚してから長い間の習わしだった。それがドレッシングをかけたサラダを僕が異様に好きなことに最近気づいた家人が毎晩生野菜の盛られた皿とドレッシングのボトルを寝酒と一緒に出してくれるようになった。もちろん大好物なので喜んで食べる。そうこうしてるうち最近微妙に体重が増えてきた。バイトを始めてからときには67キロ代だったのが最近69キロ代まで増えてきてやばいなと思ってたら今日70キロを越えた。70キロを越えるなんてここ二十年くらいはなかったんじゃないだろうか。僕の持論としては酒では太らないということになる。太るのは酒と一緒に口にするアテのせいだ。だからドレッシングの油が原因なんじゃないかと思うんだけどなかなか家人に言い出せない。どうしようかなあ。気づかれないようにちょっとだけかければいいのかなあ。ちょっとだけじゃおいしくないんだけどなあ。