指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

夜の授業はお休み。

 生徒さんたちの間で新型コロナやインフルエンザは確実に流行していてここしばらくお休みの子が結構いる。今日もお休みがいて夜の授業はなし。プール通い二日目には追い風となる形だろうか。いったん帰宅して水着に着替えてプールへ行く予定。時間があるので休み休みゆっくり泳いでできる限り距離を稼ぎたい。そう言えば心配していた昨日の疲れはほとんど残っていない。ただ泳ぐことによって高揚すると言うか興奮すると言うか昨夜の寝付きはあまりよくなかった。でもきっとそういうのにも徐々に慣れて行くんだろう。年寄りの冷や水と言われないようにがんばりたい。
 今日は家人の希望で日本橋にあるドラクエモンスターズ3のショップへ行く。東京駅から歩いたら結構な道のりがあった。この道の途中に十年前に内定をもらった生保の社屋がある。でも生保の仕事なんてとても勤まらないと思って結局内定を辞退したんだった。最終の面接のときに知人の名前とそのおおよその収入を書く冊子を渡されてそれにできるだけ多くの人数を書き込んで次回持って来るように言われた。つまり自分の近くにいる人たちをどれだけ勧誘できるかが問われるということだろう。そういうことになるんじゃないかというのはなんとなく話に聞いて知っていた。でもそんなことできる訳がない。何が嫌と言って人から迷惑がられたり図々しいと思われたりすることほど嫌なことはないという了見で生きている。じゃあなんで受けたんだと言われるとそれほど困ってたということだと思う。藁にもすがりたいと言うか。どんな形であっても一社くらい内定をもらっときたいと言うか。この広い世の中で家族以外の誰も自分のことを必要としていないという事実はちょっと厳しすぎると言うか。ありゃほんと絶望のズンドコだった。今もまあそう大したことないけどあの頃よりはマシだ。とそんなことを思いながら歩いた。川では遊覧船が出航しようとしていた。この寒いのに。ショップは僕の目からするとそこそこショボくて特に欲しいものもなく家人も何も買わなかった。何も買わないのと尋ねると展示物のスライムキングのどでかいフィギュアを写真に撮れればそれでいいということで相変わらずお金の遣い方は控えめだ。まあそれで気が済むならもちろんそれで構わない。それからモンスターズの描かれた提灯が飾られてる短い通りをこいつは二回攻撃してきたよねとか炎を吐いて全体攻撃されたよねとか話しながら歩く。家人はいどまじんがトラウマみたいでやだいどまじんじゃんと言って絶句する。こういうのが共有できると楽しい。もっとも僕は新作ゲームなんてもう十年以上やってないけど。帰って来て駅前でお弁当を買って帰る。シャワーを浴びて飲んで食べて昼寝。午後の授業ももうすぐ終わる。泳ぎに行くぞ。
 追記:夜の授業がないなんて滅多にないことなんでがんばって一時間ちょっとで千メートル泳いだ。往時の半分にも満たないけどちょっとした自信にはなった。明日も行けるところまで行く。