指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

ロックオンされる。

 今日バイトでプールの受付をやってたら前にもQUOカードとか図書カードとか下さった(以下敬語やめる)ワミさんがやって来て思い詰めたようにあの十四日はいらっしゃる?と尋ねる。十四日は出勤の予定なのではいおりますと答える。ワミさんは小さな声でそっかいらっしゃるのかと独りごちてそのまま女子更衣室に入って行く。こちらはもちろんそれってバレンタインデイの予定の確認なんだろうなと思う。ロックオンされてしまった訳だ。ちなみにこのワミさんという人はとても品があってその点ではお客さんの中でも群を抜いてる気がする。どこがと言われると答えに窮すんだけど立ち居振る舞いや言葉遣いにいいおうちで育ったんだなと思わせる何かがある。これまでにもらったお菓子なんかもどれもとてもおいしくてそういうのを知ってるというのはいいとこのお嬢さんだからだとしか思えない。一時期社長令嬢(死語か?)とつき合っていたのでそういうのはなんとなくわかる。でもそういう人から何かもらってもお返しなんてできない。裕福な人のプレゼントに見合う品をお返しするお金なんかない。貧乏なのでね。困った。でも家人にその話をするとそういう人の「推し」みたいな役目ができてるのならそれは相手にとってもいいことなんじゃないのと言われる。まあそう言われてみればそういう気もする。ワミさんには遠回しに好きだと言われたことがあったり彼女の水泳仲間で僕はワミさんの「旦那さん」と呼ばれてるとかいう話もあったりなんだか自分で書いてて中学生みたいだな。でもどきどきするって中学生くらいの心に戻るってことなのかも知れない。中学生ってどきどきするよね。何ひとつ自分ではうまくコントロールできないしさ。
 今日のスイムはなんと!三十分で千メートル!快挙!でもだからと言って倍の六十分で二千メートル泳げそうかと言うと無理みたいだ。とにかく目標には近づいている。明日も三十分で千メートルを目指す。