指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

メタレベルでのコントロール。

 この作品を読みながらしきりにメタレベルという言葉が頭に浮かんできた。物語としてはこの作者の長編のいくつか同様にかなり荒唐無稽な訳だ。でもだからと言って破綻してる印象にはならない。最初から最後まで物語に一貫性を持たせる一筋の何かがどこかにある。そのことはよくわかる。でもそれがどこにあるなんなのかと問われるとよくわからない。でもこれだけの長い物語(文庫にして九百ページを越える。)を空中分解することなく持続させるためには何か強力な根拠が必要なはずだ。目には見えないそれがメタレベルで存在して物語をコントロールしている。そんなイメージが繰り返し訪れた。たぶん語り手以外の何人かの登場人物がときに姿を変えたり隠したりしながらも結局最初から最後まで登場し続けていることもそのイメージをつくり出すのに一役買ってる気がする。彼らひとりひとりの思惑や動機はあまりはっきりしない。でも繰り返し語り手の前に姿を現すのだからそこには彼らなりの一貫した何かがあるはずだ。今の僕に言えるのはせいぜいがそんなところまでだ。一週間くらいで読み終えたことになるけどその間続きが気になって一日も休まずに読み続けた。という意味ではおもしろい作品と言えると思う。前にもちょっと触れたように以前一生懸命読んでた作家の未読の作品を読むというのが続いている。この作者の作品もあるところまでは手に入る限り持ってる。「ギケイキ」の3が出てるらしいのでそれも近く読みたい。
 今日のスイムは三十分で九百。いろいろあって四日間休んだら体が軽くて久々に気持ちよく泳げた。明日はまた千メートルを目指す。