- 作者: 恩田陸
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2004/07/31
- メディア: 単行本
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作者は実際にこの夜のピクニックを体験したことがあるか、そうでなければかなり綿密に取材した上でイメージを作り上げているに違いない。本当は前者だと言い切ってしまうとうまく腑に落ちることがある。それは夜のピクニックの元々のイメージは少なくとも20年以上は前のものではないかということだ。その頃の進学校なら、確かにあまりいじめはなかったかも知れない。
その元々のイメージを現代に持って来て、その上でストーリーを組み立てたと考えると一番無理がない気がする。そして現代の学校の環境ではなかなか難しそうな、健康でのびやかな若者と彼らの心の動きを作中に実現できるように思われる。それがこの作品が多くの読者の心を惹きつける一番の要因だと言いたい訳だ。ある種のノスタルジーだ。でも、そのノスタルジーに乗っかる訳には行かないような気がした。
「図書室の海」に較べてすごく読みやすかった。