子供は中学校の途中くらいまで本気で新幹線の運転士になりたいと思っていてそれに特化した高校へ行きたがっていた。調べてみると大学を出てJRならJRに就職すると現場ではなく管理職みたいな仕事に回される場合が多いらしくだから高卒で就職した方が子供の希望には適してるようだった。家人はそれでも全然構わなそうだったけど僕は一応子供には四年制の大学に行ってもらいたいと思っていた。なんとなくだけど。それが途中からいろいろなものに興味を持ち始めて鉄道関係がだんだんフェードアウトしていった。演劇にはずっと興味を持っていたし大学駅伝やプロ野球を始めとするスポーツ観戦にも熱を入れていて自分で調べたらしく知識もすごい。そんなこともあって普通科の高校に行きたいと路線変更してまあまあの都立高に受かった。高校に入ってからは一時期将棋にすごくはまって亡くなった棋士の実家が見たくて大阪まで夜行列車で行ったり、ニューイヤー駅伝と箱根駅伝を見るため元日から三日間群馬県から箱根まで飛び回ったり(毎晩遅く帰宅しては翌朝早朝にまた出かけて行く。)と旺盛な行動力を見せ始めた。この間棋士になりたいとかスポーツのライターみたいな仕事をしたいとかも考えたらしい。家人の影響で小説を書くことにも興味があるらしく僕の本棚から保坂和志さんの書かれた小説入門を抜き出して読んだりもしていた。でも前にも書いた通りいちばん長く続いた希望は演劇に関する仕事をしたいということでこの前まで演劇科のある文学部に行きたいと言っていた。それがつい最近特に文学部でなくても構わない、どちらかと言うと経済とか商学部とかそういうところへ行きたいと言い始めた。演劇は学外でもできるしそれよりは自分の仕事できちんと食べられるようになりたいと言う。僕より一万倍くらい正しい学部の選び方だと思う。夢は夢として現実は現実として分けて考えるところは若干物足りない感じがしない訳でもないけどそれが今の若い人の考え方だと言われるとそうなのかなという気もする。どのくらいのレベルまで行けるかわからないけど行けるところまで行ったらいいと思う。