指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

あれはどれくらい前のことだったんだろう?

 あれはどれくらい前のことだったんだろう?村上春樹さんの小説を長編も短編集も含めて全作読み返したことがある。そう遠い昔の話ではないしこのブログにもそのことは書いた気がするから検索をかければいつのことかすぐにわかる。でも今はそんなことはいいや。とにかくこの「中国行きのスロウ・ボート」もそのときに全編読み返してるはずだ。でもそれで何を感じ何を思ったかはまるで覚えてない。若い頃に好きな箇所をぱらぱらと数え切れないほど読み返した本を久しぶりに頭からおしまいまで読んだという感慨だけで充分だったのかも知れない。今回は折角の復刻版だし受け身なだけでなくちょっと積極的に読もうかと思うともなく思って読んでみた。それでたとえば「土の中の彼女の小さな犬」の「彼女」が預金通帳を掘り出してるときに鳴っていた電話は実は別れることになりそうなガールフレンドに語り手がかけてた電話が時空を越えて届いてたんじゃないかとかそういう変なことを考えたりした。だとしたらそのガールフレンドはその電話の響きを何をしながらどんな思いで聴いていたんだろう?でもこういうのってよく調べるとすでにどなたかがもっと精密な形で指摘なさってるんだろうな。思いつきというのは結局思いつき以上の価値を持たないのかも知れない。でもまあだとしてもこの短編集はまだ何度も読み返されることだろう。そうなることを願っている。今日のスイムは32分13秒で千メートルと割に好調な方。維持できるといいんだけど。千字書くのは無理だな。という訳で今日も二冠に終わる。