指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

迷ってる。

 飯島真理さんの「Rose」は何回か聴くうち全曲思い出した。アマゾンのレビューはものすごく音質にこだわった人何人かによって書かれていてそんなにすごいのかと思うけどパソコンに取り込んで千円ちょっとのヘッドフォンで聴いてるんじゃそのありがたみがわからないのはまあ当然だ。歌詞を褒めてる人もいるけど僕の読解力の問題かも知れないけど若い頃聴いてたときには割に稚拙な歌詞だよなと思ってたし今聴き直してもその思いは変わらない。これじゃ聴いて後悔してるみたいだけど決してそうではなくて声はきれいでかわいらしいし坂本さんのアレンジも気持ちいい。大はつかないけど傑作かも知れない。なんか他のアルバムも良さそうなんだけどまあ今回はもういいや。
 思いついて柏原よしえ(当時のままの表記で行きます。)さんのファースト・アルバムを探すと何年か前にCD化されていることがわかり買おうかどうしようか迷ってる。高一だったから1979年か80年のことだったと思う。確かCMで見てすごいきれいな人だなと思った。きれいな人と言ってもまだ十代半ばだった訳だけど。たまたま近くのデパートでサイン会があるということを知って(新聞の折り込み広告とかそういうので知ったんだろうか。ウェブなんて影も形もなかったから。)友だちとふたりで行った。そこでこのファースト・アルバムを買ってジャケットにサインしてもらった上にクイズに正解するとプレゼントがもらえるという企画で正解してかわいいランチボックスをご本人から手渡された。すごくうれしかったと思うんだけどその思い出に彼女自身は全く含まれていない。たぶん彼女の方を見る勇気がなかったんじゃないかと思う。そのランチボックスはまだ実家にある。でも前にも書いた通りアルバムは捨てられてしまった。ちょっと惜しい気もするけどまあ仕方ない。ファンクラブに入ったり一度は東京までコンサートに行ったりもしたけど彼女のファンだったのはそう長いことではなかったらしい。その頃の柏原さんはまだブレイクというところまでは行ってなくて「ハロー・グッバイ」とか「春なのに」がヒットするのはもっと後のことになる。そしてそれらがヒットする頃にはもう特にファンではなくなっていた。理由はよくわからない。
 でもこのファースト・アルバムも本当によく聴いた。結構いいアルバムだと思ってるんだけど思い出補正かも知れなくてだからCDで買い直すかどうか二の足を踏んでる訳だ。どうしようかな。ちなみに下のは別のアルバムの画像。こういう表情には今でもなんとなく惹かれる。

春なのに

買った。

 昨日書いた飯島真理さんのアルバム「Rose」をアマゾンに発注した。図書館になかったので。デラックス・エディションにはDVDとかインストゥルメンタルとかバンドルされてるらしいんだけど前にも書いた通り音楽を聴くときに映像は特に必要ないと言うかむしろない方がいいので通常版にした。明日届く予定でとても楽しみ。

 今週は途中で寒気がしたりしてあまり調子がよくなかった。具体的に何がという訳じゃないんだけど。午後の授業が終わりお刺身とか買いに最寄りのまいばすけっとに行く間もなんだかすごく疲労を感じていつもよりゆっくり歩く。それで思い出したんだけどノーシンピュアの最近のCMが割に好きだ。女の子がベッドに横たわって「今日は無理しない、無理しない。」と言うの。パジャマや部屋着じゃなく外出もできそうな服装でベッドに横たわるのがいい。非日常感と言うか特別な日なんだねという感じがとてもよく出てると思う。それで頭の中で今日は無理しない、無理しないと繰り返しながら歩く。その程度には僕も弱っている。

「君の瞳に恋してる」。

 僕が好きなのはボーイズ・タウン・ギャングがカバーしたもので今調べると1982年のリリース。従ってディスコでも耳にしてるんじゃないかと思うんだけどはっきりした記憶がない。1982年もずっとラジオは聴き続けていたのでそれで知ったのかも知れない。「ミスD.J.」では確か毎日ランキングを発表してたはずだから。毎日じゃなかったかな。週一?毎日だった気がするけど。それで思い出したけど「ミスD.J.」のパーソナリティーのひとりに飯島真理さんという方がいらした。今調べたら同い年だ。「超時空要塞マクロス」でリン・ミンメイ役をなさっててそれで知ったんだと思う。いわゆるシンガー・ソング・ライターでもあってファースト・アルバムは坂本龍一さんのプロデュースだった。これは買って持っててすごくよく聴いた。「愛・おぼえていますか」は名曲だと思うけどそれはもう少し前の話でそのアルバムには収録されてなかった。じゃあ何が収録されてたのかと思って今調べたら全12曲中一曲目と最後の曲しか覚えがない。アルバムのタイトルは「Rose」(ロゼ)でこれも覚えがないけどアマゾンでレビューを見ると結構絶賛されている。CDも今でも手に入る。後で図書館で探してみよう。
 ボーイズ・タウン・ギャングが1980年から1984年までしか活動してなかったのを知ってなんか儚いなあと思ってそのことを書きたかったのに半分以上別の話になった。

最後の書類。

 奨学金のための最後の書類に署名捺印してもらうために実家に送った。それを提出してしまえば本当に一段落だ。それから今回振り込まれた金額の謎も判明。返さなくてもよい給付型の分が四月分と五月分合わせて振り込まれ貸与型の方はまだということらしい。その最後の書類が借用書に当たるので考えてみれば借用書が未提出なのに貸し付けが始まるというのも変な話ではある。もっともこれも推測に過ぎないんだけど振り込まれた金額がちょうど給付額の二倍なのでそうじゃないかと踏んでいる。そうであって欲しい。これに振り回されるのは本当にもうこりごりだ。

買い物に行くまで。

 午前中買い物に行くまで塾にいる。シンクがあって生徒さんたちが手を洗ったりするのに使うんだけど最近水が底に貯まるようになって来たのでメッシュ状の網を取り替える。月が替わったので外に出してるちらしを六月のものにしなければならない。プリンターの電源を入れてパソコンをつないで何枚か印刷する。それを折りたたんで封筒に入れ看板の入れ物に差す。パブリシティーはとても大切だとこの前つくづく実感したから。ついでに領収証が欲しいという生徒さんのために領収証を印刷してカッターで領収証と領収証(控え)に切り分けて前者にははんこを押す。それも封筒に入れてしまう。パソコンで受講料がいくら集まったかあといくらもらえるかをチェックする。先月はすべての支払いを終え家人に生活費を渡した後でも尚数万の余裕があって驚く。そんなの本当に久しぶりだ。もう何万か家人に渡せるかも知れない。子供の定期代(驚くほど安いとはいえ)とか払ってもらってるし詳しくは知らないけど大学の教科書なんかもうちの母親からのお小遣いと全額渡した都の補助が終わってしまえばその後は家人が払ってる可能性もある。多分気を遣ってそういうことは僕には何も言わないんだろうけど。確定申告の還付金も数万あったはずだけど子供関係で全部遣ってしまったらしい。子供は基本的に大学生協の食堂で昼食を食べるのでその代金も馬鹿にならないだろう。もっともお弁当を用意することを考えたら家人は喜んで負担するだろうという気もしないでもないけど。それからこの前大学から送られて来た奨学金関係の書類にもう一度目を通す。これは実家の弟に送って署名と捺印を頼まなければならない。レターパック買って来なきゃ。それら細々したことが全部片付くと家人が迎えに来るまでそれほど時間は残らないので音楽を聴きながら今日の授業の準備。グミの好きな子が多い日なので飴の箱にグミを人数分かける二個ずつ忍ばせる。それから家人と買い物。今日のお昼は買って来た山盛りのサラダと小さめのお弁当それにカップ麺。

1983年夏のディスコ・ナンバー。

今週のお題「わたしのプレイリスト」

 1983年夏のほんの数ヶ月だけ毎週末ディスコに通うことになった。それ以前に行ったことはなかったしそれ以降も行ったことがない。上京して予備校に通う浪人生で同宿の仲間が誘ってくれて行き始め秋になって本格的に受験勉強を始めたために行かなくなった。
 それはマイケル・ジャクソンの「スリラー」の夏でもあった。「ビリー・ジーン」であり「ビート・イット」であり「スターティング・サムシング」であり「P.Y.T.」だった。「スリラー」のMVは恐ろしく完成度が高かった。でももちろんそれだけじゃない。マドンナもいたしデュラン・デュランもいたしカルチャー・クラブもいたしワム!もいた。ヒット・チャートではお目にかからないディスコでだけ聴くことができる名曲もあった。フロアが振動するほどの大音量でそれらの曲を夏の夕立のように浴びながら踊るのは本当に快感だった。今思うとポイントはあの大音量にあった気がする。ドラムが、ベースが、体を貫く。それは明らかに非日常的な体験であり目がくらむような陶酔感を全身にもたらした。だからそれらの曲は快楽の記憶と共に今でも体に刻み込まれている。そして折に触れて懐かしく思い出される。
 耳の奥に今も響き続けるそんな曲たちが今でも手に入ることに去年の暮れ頃に気づいた。何がきっかけだったかたまたま図書館のサイトで曲とタイトルだけ覚えていた「Close Your Eyes」を検索したらディスコ・ナンバーばかり集めたオムニバス・アルバムに収められてることがわかり借りてみた。すると正に耳に残っていたその曲ではあったんだけど残念ながらとても短いバージョンだった。ただし大切なことがひとつわかった。Queen Samanthaというアーティスト名だ。割によくあるタイトルなのでウェブで検索するとどれがその曲だかわからないんだけど(長渕剛さんのものがいちばん有名みたいだ。)アーティスト名までわかれば格段に探しやすくなる。結局アマゾンでダウンロード販売されてることがわかり簡単に手に入れることができた。100円か200円だったと思う。これに味をしめてまず図書館で探し図書館にないものはいくつかの通販サイトで探す日々が始まる。そしてそれらの曲だけでプレイリストをつくった。原則は一アーティストにつき一曲。あのひと夏のディスコ・ナンバーを楽しみ懐かしんでいる方々がもしいらっしゃるのなら心を込めて捧げたいと思う。これくらいのリストなら今でも割に簡単につくれます。ただしマイケル・ジャクソンはさすがに聴き飽きたので収録してないのとカルチャー・クラブメン・アット・ワークは特に好きな曲がないという超個人的な好みではずした。ご容赦いただければ幸い。

Close Your Eyes / Queen Samantha
 個人的にはディスコ以外では一度も耳にしたことがない。疾走感がすごい。Remix版をアマゾンのDLで入手。

So Many Men So Little Time / Miquel Brown
 これもディスコ以外で聴いたことがない。パーカッションが心地いい。娘さんは「Toy Boy」のヒットで知られるシニータ。

(Keep Feeling) Fascination / The Human League
 ヒューマン・リーグってこの曲しか知らないんだけどそれは不勉強なせいだと思う。「Eighties 2」というオムニバス・アルバム収録。もちろんヒューマン・リーグのベストアルバムにも入ってるんじゃないかと思う。

Abracadabra / Steve Miller Band
 これもディスコでしか聴いたことがない。リリースは1982年ということだけど83年にも結構聴くことができた。アマゾンのDLで入手。

Sweet Dreams (Are Made of This) / Eurythmics
 やや不気味な曲。「There Must Be an Angel」のさわやかなユーリズミックスと同じとはとても思えない。これはヒット・チャートでも聴いた覚えがある。

On the Radio / Donna Summer
 「マッカーサー・パーク」、「ホット・スタッフ」と名曲も多いけど個人的にはこの曲がいちばん思い出深い。ドナ・サマーのベスト「Summer:The Original Hits」から。

She Blinded Me with Science / Thomas Dolby
 邦題は「彼女はサイエンス」。ユーリズミックスもそうだけど意外と不気味な曲が多かった気がする。前掲の「Eighties 2」というオムニバス・アルバムに収録されている。

Electric Avenue / Eddy Grant
 この人がどんな人かはまるで知らない。でもこんなタイトルの曲は他にあり得ないので結構簡単に見つけることができた。「僕たちの洋楽ヒットMore Deluxe 1983-85 Vol.7」収録。ジャンルはレゲエということになってる。

Do You Wanna Funk ? / Sylvester
 このアーティストについても何も知らない。ヒット・チャートでも聴いたことがない。でもディスコでは何度も聴いた。アマゾンのDLで購入。

I.O.U. / Freeeze
 もしかすると映画「ビバリーヒルズ・コップ」の影響を受けてるんじゃないかと今なら思う。これはCDを持ってた。いつ頃買ったか覚えてないけどアマゾンに注文したら海外から送られて来た覚えがある。

Let's Get Started / Voyage
 一度だけ行ったことのある六本木のネペンタというディスコで確かショーの始まりで流れたんじゃないかと思う。その後男性のダンサーにほほにキスされた。アマゾンのDL販売で。

Let's Dance / David Bowie
 タイトルから言ってもダンス・ナンバーを意識した曲なのかも知れないけど正直そうダンサブルな曲でもない気もする。「Best Hit 80's」というオムニバス・アルバムから。

Too Shy / Kajagoogoo
 これがデビュー曲だったような気がするけど他の曲は知らない。ヒット・チャートでも上位に来てた覚えがある。やはり「Best Hit 80's」というアルバムに収められている。

Bad Boys / Wham!
 「クラブ・トロピカーナ」とか「ウキウキ・ウェイク・ミー・アップ」とかいろいろ聴いたけどこれがいちばん懐かしい。「ケアレス・ウィスパー」とか今聴くとムード歌謡みたいでちょっと笑える。「The Final」というベスト・アルバムから。

Holiday / Madonna
 マドンナのファースト・アルバムからは何曲かディスコでも流れたけどこれがいちばんいいんじゃないかと思う。個人的にはダンスのリズムにものすごく合ってて踊りやすかった。懐かしくてブックオフオンラインでアルバムを購入。

Fall in Love with Me / Earth, Wind & Fire
 当時すごく気に入っていたけど今回聴き直したらそんないい曲にも思えなくてやや拍子抜けしたところうるさいくらいにボリュームを上げて聴いたら当時と同じように魅力的に思えた一曲。「Let's Groove」もいいけどね。「Premium Best」というベスト盤から。

Lies / Thompson Twins
 これもディスコでしか聴いたことがない。それにこれと「Hold Me Now」しか個人的には知らない。歌詞にJapanとあるんだけどその後に中国風のメロディーが現れて明らかに中国と混同されてる。踊るにはちょっとテンポが速過ぎるけど。彼らのベスト盤に収録されている。

Private Eyes / Daryl Hall and John Oates
 言わずと知れたホール&オーツの名曲。チャートでどれくらいにランクインしたのか知らないけど結構ヒットした「Maneater」なんかより全然いいと思う。「Rock'n Soul Part 1」所収。

Owner of a Lonely Heart / Yes
 とてもキャリアの長いアーティストらしいけどこの曲しか知らない。私見では中森明菜さんの「サザン・ウィンド」の間奏の一部は明らかにこの曲の影響を受けてると思う。「Best Hits 70's 80's 90's Pop Classics」より。

The Look of Love / ABC
 途中で挟まれる女性の声の「goodbye」がなぜだかすごく気に入っている。これも本当によくディスコで聴いた。ひとつ前の曲と同じアルバムに入ってる。

1999 / Prince
 テンションの高さがすごい。しかもそれがずっと持続される。あとプリンス特有のあのごつごつしたドラムだかベースだかの音が魅力的。「4Ever」という彼のベスト盤から。

Gloria / Laura Branigan
 ローラ・ブラニガンというアーティストは調べたら随分前に亡くなっていた。これと「Self Control」という曲しか知らないけど。どちらもよくディスコで流れていた。声量がすばらしい。「The Best of Laura Branigan」に入っている。

Union of the Snake / Duran Duran
 「Hungry like a Wolf」とか「The Reflex」とかいろいろ聴いたけど個人的にはこれがいちばんディスコのフロアに似つかわしいと思う。「Seven and the Ragged Tiger」という彼らのオリジナル・アルバムから。

め組のひと / ラッツ&スター
 新宿のディスコ「G.B.Rabbits」で聴いた中では唯一の邦楽。一度じゃなく複数回流れたと思う。これは踊りやすい上に結構盛り上がる。「Back to the Basic」という彼らのベストに収録されている。

 リストは以上。今思い出したんだけどこの年はまた映画「フラッシュ・ダンス」の年でもあった。「What a Feeling」もよく聴いたけどこれも聴き飽きてしまったので除外。ドラマの主題歌になったのもよくなかった。こんな曲もあったねというご意見がおありなら是非お聴かせ下さい。

ないときは我慢できる。

 前にバイトしてたスーパーでなんとなく仲良くなった部署の違うおじさんがずっと自営業をやって来た実感としてお金がないときは我慢できるんだけどあるときは我慢できないんだよねという話をあるときしてくれてほんとそうだよなと思ってすごく共感したことを覚えている。ほんとにその通りでないときは欲しいものももったいないと思って我慢できるんだけどちょっと余裕が出てくるとまあいいかと思って買ってしまう。浮き沈みの激しい自営業に従事する者ならではの実感だと思う。しかもこの場合妻子がいればやはり妻子と言うかもうはっきりと子供が優先でその次が妻で自分は後回しということにどうしてもなってしまう。もちろんそうじゃない人もいるかも知れないけど。

 五月は退塾者ひとりに対し入塾者が四人で受講料を徴収してみるとなんとなく金銭的に余裕ができている。その上子供の授業料も減免になることがわかり手はつけないけど奨学金も入って来てるので何年かぶりに豊かな感じだ。年度末に受験生がごっそり抜けるので今のままなら危機的状況に立たされることになるのは明白だけど五月に四人入ってくれたんだから六月も七月も少しは入塾者があるかなと楽観的な気分にもなる。それでつらつら考えてみて目にする度に食べたいなでも高いからもったいないなとずっと我慢してきたものを思い切って買って食べてみることにした。手始めはカキ。オイスターの方のカキ。これは先週成城石井で見つけておいしそうだと思ったカキの燻製で本体599円かな?個人的にはかなりぜいたくな価格帯だ。普段は278円のマグロの刺身を子供と分けて食べてるんだから。もともとシーフードは大好きでホヤを除くと大体なんでも喜んで食べる。ずっと以前は冬の鍋物にカキを入れてもらってたこともあったけど新婚で家人もいろいろと僕に気を遣ってくれてた頃のお話でいつからかお互い必要以上に気を遣わなくなった上に土台用意が比較的楽と言ってた鍋物でさえつくらなくなったのでカキなんて下手すると二十年近く口にしてないかも知れない。海産物が驚くほどおいしい土地に生まれながら家人があまり好まないということも大きい。という訳でまるで永久に死角に入ってしまったかのようにカキなんて目にしても見えないも同然だった。でもなんか元気も出そうだしと思って一応家人に許しを得てから買ってみた。食べるか訊くと案の定食べないと言う。子供が食べるかなと言うとご褒美と思ってひとりで好きなだけ食べたらと言うのでお昼前に一杯やるときアテにして食べた。うまい。すごくうまい。ああこんなにもうまいもんだったんだなと大げさでなくしばし感慨に浸る。

 ということで週に一回くらいちょっとぜいたくなものを食べようかと思う。とりあえずカキの味が忘れがたいので来週も同じものになりそうな予感。ちなみにお裾分けとして家人には臨時のお小遣いを一万円あげた。気持ちだけだけど。

書類が来た。

 子供の大学から奨学金についての書類が来た。やっと来た。六月下旬までに必要な書類を提出しなければならないことになっている。また学費の減免についても知らせて来ていてそれを見るとちょっと信じられない額が引かれることになってるんだけどこれほんとなんだろうか。何十万が数万になる規模なので。それとこの前振り込まれた額はやはり不可解で給付型と貸与型を合わせた額より少ないんだけど書類によると満額振り込まれることになってる。どうしてだ。もちろん結果的には助かるんだけど本当にこの奨学金の一件には頭を悩まされ続けている。これに特化した代行とかコンサルタントとかやったらそこそこ儲かるんじゃないだろうか。

道を聞かれる。

 どういう訳か家人は道を聞かれることが多い。もしかするとなんかこう警戒心とか抱かれにくいタイプなのかも知れない。今日も黒いスーツを着た若い女の人が正面からやって来てぶつからないようにナチュラルによけようとしたら家人の目の前に立って道を尋ね始める。聞けばあと15分で面接が始まるということなのにスマホの地図を見せてもらうとまるで明後日の方向に向かって歩いてる。完全に土地勘のない人だ。さすがにまずいので夫婦二人で出発点に戻させて時間を節約するためにそこから交通機関を使って行く方法を教えると乗り遅れないように走って行く。しばらく経ってから家人が、あ、面接がんばってと言うの忘れたと言う。そんなこと言う以上の助けを君はしたんじゃないかなと僕は思う。

善人なおもて往生をとぐ。

 ちょっと前のことだけど塾に電話がかかって来て出るとそれは慈善団体みたいなものからで塾の生徒さんのひとりからその団体に依頼があってその団体が発行するポイントみたいなもので受講料を払いたいんだけどそれには塾がその団体に登録を申請する必要がある。ついては登録申請を検討して欲しいのだが資料を送ってもいいかという問い合わせだった。その生徒さんが誰かは現状教えられないということでその段階で話の筋がちょっと違うんじゃないかとかすかに思った。私見ではまずその生徒さんから塾の方にしかじかの補助を受けたい旨の申し出があり塾が了承してからその団体に申し込みをするべきなんじゃないかという気がする。また今回はコロナ禍で収入の減った世帯が補助の対象となるとのことで思い当たる節があっておおよそその生徒さんを特定できた。すごくまじめな生徒さんなので役に立てるなら立ちたいと思ったけどもちろん善意というものを基本的にうさんくさいものだと考えているのでその自分の価値観とのせめぎ合いみたいなものが生まれる予感があった。とりあえず資料はメールに添付で送ってもらうことにして電話を切ってうちに帰ってからウェブでその団体について調べると有意の人たちから寄付を募ってそれを使って塾の費用などを補助する団体らしいことがわかった。評判も悪くなさそうだった。メールも届いていてpdfファイルは全部で20ページ以上ある。ディスプレイで読むのは疲れそうだったのでやめて翌日プリントアウトしてる途中でなんでこんなことしなきゃならないんだという気にどうしてもなって来る。なんでこんな労力をかけなきゃならないんだ?それがその生徒さんのためになるのはわかる。そうしてあげたいとも思う。でも自分たちは善いこと正しいことをしてていい気分かも知れないけどその精神的満足のためになんでうちが20ページもあるpdfを印刷したり読みたくもないのにそれを読んだりする労を執らせられなきゃならないんだとその団体に対しては思う。善いこと正しいことのためなんだからそんなの当然我慢すべきだとでも言いたいのか?そこでは善が何か傲慢なものに取って代わられてないか?「善意は地獄への道だぜ。」という吉本隆明さんの言葉が思い浮かぶ。
 それでもまあ読んでみなきゃ始まらないので一応目を通すと登録の申請書を書くのも結構面倒な上に確定申告の控えを提出しろだの登録には審査があるので審査に通らなければ登録できないだのと書いてある。確定申告の控えを見ず知らずの人に見られるなんて虫酸が走るほどいやだ。それにこちらから頭を下げて登録を懇願してる訳じゃあるまいし審査に通らなければ登録できないとは何事だいったい。と不信感でいっぱいだったせいもあり読んでるうちに向かっ腹が立ってそのままほっといた。そしたらよせばいいのに昨日になってまた電話がかかって来て資料は検討してもらえたかと言う。こっちは授業中なんだよ塾に電話するのに時間帯も考えないのかよと思うけどいくつか納得の行かないことを質問する。この内容で登録申請に応ずる塾がどれくらいあるのか。塾に何のメリットがあるのか。なぜ確定申告の控えが必要なのか。申請が通らず登録にならない塾というのはどれくれいありそれはどういう理由によるのか。我ながらまっとうな疑問だと思う。メリット以外は専門の担当者に替わると言うので時間がかかりそうでそれは断る。そしてメリットについてはそう言われれば塾に対するメリットはないとのことでその正直さはある程度評価するけどこれだけ善いこと正しいことをしてる我々にお前は自分のメリットの話をするのか我々の善さ正しさの前に黙ってひざまずくのがあるべきお前の姿ではないのかとでも思ってんのか。そう言われれば塾に対するメリットはないってそう言われればじゃないよそう言われるのが当然じゃないかよ。言葉遣いとかものすごく丁寧なんだけど善さ正しさの側に立つ人特有の無意識の傲慢さが顔をのぞかせている。
 「善人なおもて往生をとぐ 況んや悪人をや」自分を善人と自己規定した傲慢な輩でさえお釈迦様は救って下さる。

まさかね。

 塾の仕事には基本的にボタンダウンシャツを着て行く。寒い時期は長袖暑い時期は半袖。ボタンダウンじゃない日というのは何年かに一度じゃないかと思う。それが今日たまたま午前中Tシャツで出かけ明日天気が悪いということで洗濯物を増やしたくなかったのでそのまま午後の仕事にも着て出かけた。そしたら中学生の生徒さんがまるで同じTシャツを着てて驚いた。ユニクロの「1973年のピンボール」のTシャツ。本人が選んだものじゃないと思うのでお父さんかお母さんが村上さんのファンなのかな。

またまたご成約。

 最近体験授業をした小学生のお母さんからメールがあってまたご成約。五月は一ヶ月で四名様の快進撃。つか実は二週間足らずでこの結果。体言止めにもなろうというもの。この調子が続けば一年後にはもうひとつ教室を借りて子供をバイトに雇うこともできそうだけどまあさすがにそううまくは行かないだろうな。でも夢は大きく。疲労も大きく。

私の小岩、小岩恋。

 テレビ東京の「モヤモヤさまぁーず2」は結構見てる。いちばん最近の放送では小岩周辺をぶらぶらしていた。BGMに松田聖子さんの「青い珊瑚礁」が取り上げられてこれは「私の恋は」と「私の小岩」がかけられていた。その後少しして松山千春さんの「恋」が流れたのであれどうしてかなと思ったら歌詞の「恋は恋」が「小岩恋」とかけられてるんだった。すぐには気づかなかった。くだらないけどおもしろい。この手の駄じゃれは割に好きだ。「青い珊瑚礁」はすでにスタンダードとしても松山千春さんの「恋」を知ってるなんていったいいくつくらいの人の選曲なんだろうと思う。それとも僕が思ってるよりメジャーな曲なんだろうか。そうかも知れない。
 クーリエ・ジャポンのサイトに「米紙が辛口批評「村上春樹は井戸の中に落ちてしまったらしい」」という記事が一昨日付で掲載されて今は有料記事になっちゃったみたいだけど掲載当日は確か無料で全部読めたはずだと思う。中で「村上T」やユニクロとのコラボとかについて揶揄だか批判だかされていてまあそういう見方もあるだろうなと思った。いちばんやり玉に挙げられてるのは短編集「一人称単数」でただこういう分析はまるで反対の視点からもすることができるのでにわかに真に受ける気になれない気もする。個人的には前にも書いた通り早稲田の入学式と新しい施設の方がひっかかる。人は変わって行くと言えばまあそれまでだけど。

奨学金が下りる。

 やっとのことでJASSOの奨学金が下りた。24日と思って今日まで待って記帳したら14日に下りていたことがわかった。貸与型の方は授業料減免の手続きを取ったのとおそらく引き替えに満額は下りなかったらしいけどそれでも結構な額になる。これは来年度の学費のために一切手をつけずに取っておくつもり。大体授業料がどのくらい減免になったのかも知らせがないし貸与型の奨学金が減額になったのもそうなんじゃないかと見当をつけてるだけで正式には何も知らされてない。まだ書面を提出しなければならないのにそれについてもなんの音沙汰もない。でもとりあえず重要なのは入金があったということなのでよしとして今後の相手の出方をうかがう方針。新型コロナの影響で手続きが遅れるかも知れないとどこかに書いてあった記憶もあるし。つかもう二度と見たくないんだけどなあのマニュアルほんとは。