指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

1983年夏のディスコ・ナンバー。

今週のお題「わたしのプレイリスト」

 1983年夏のほんの数ヶ月だけ毎週末ディスコに通うことになった。それ以前に行ったことはなかったしそれ以降も行ったことがない。上京して予備校に通う浪人生で同宿の仲間が誘ってくれて行き始め秋になって本格的に受験勉強を始めたために行かなくなった。
 それはマイケル・ジャクソンの「スリラー」の夏でもあった。「ビリー・ジーン」であり「ビート・イット」であり「スターティング・サムシング」であり「P.Y.T.」だった。「スリラー」のMVは恐ろしく完成度が高かった。でももちろんそれだけじゃない。マドンナもいたしデュラン・デュランもいたしカルチャー・クラブもいたしワム!もいた。ヒット・チャートではお目にかからないディスコでだけ聴くことができる名曲もあった。フロアが振動するほどの大音量でそれらの曲を夏の夕立のように浴びながら踊るのは本当に快感だった。今思うとポイントはあの大音量にあった気がする。ドラムが、ベースが、体を貫く。それは明らかに非日常的な体験であり目がくらむような陶酔感を全身にもたらした。だからそれらの曲は快楽の記憶と共に今でも体に刻み込まれている。そして折に触れて懐かしく思い出される。
 耳の奥に今も響き続けるそんな曲たちが今でも手に入ることに去年の暮れ頃に気づいた。何がきっかけだったかたまたま図書館のサイトで曲とタイトルだけ覚えていた「Close Your Eyes」を検索したらディスコ・ナンバーばかり集めたオムニバス・アルバムに収められてることがわかり借りてみた。すると正に耳に残っていたその曲ではあったんだけど残念ながらとても短いバージョンだった。ただし大切なことがひとつわかった。Queen Samanthaというアーティスト名だ。割によくあるタイトルなのでウェブで検索するとどれがその曲だかわからないんだけど(長渕剛さんのものがいちばん有名みたいだ。)アーティスト名までわかれば格段に探しやすくなる。結局アマゾンでダウンロード販売されてることがわかり簡単に手に入れることができた。100円か200円だったと思う。これに味をしめてまず図書館で探し図書館にないものはいくつかの通販サイトで探す日々が始まる。そしてそれらの曲だけでプレイリストをつくった。原則は一アーティストにつき一曲。あのひと夏のディスコ・ナンバーを楽しみ懐かしんでいる方々がもしいらっしゃるのなら心を込めて捧げたいと思う。これくらいのリストなら今でも割に簡単につくれます。ただしマイケル・ジャクソンはさすがに聴き飽きたので収録してないのとカルチャー・クラブメン・アット・ワークは特に好きな曲がないという超個人的な好みではずした。ご容赦いただければ幸い。

Close Your Eyes / Queen Samantha
 個人的にはディスコ以外では一度も耳にしたことがない。疾走感がすごい。Remix版をアマゾンのDLで入手。

So Many Men So Little Time / Miquel Brown
 これもディスコ以外で聴いたことがない。パーカッションが心地いい。娘さんは「Toy Boy」のヒットで知られるシニータ。

(Keep Feeling) Fascination / The Human League
 ヒューマン・リーグってこの曲しか知らないんだけどそれは不勉強なせいだと思う。「Eighties 2」というオムニバス・アルバム収録。もちろんヒューマン・リーグのベストアルバムにも入ってるんじゃないかと思う。

Abracadabra / Steve Miller Band
 これもディスコでしか聴いたことがない。リリースは1982年ということだけど83年にも結構聴くことができた。アマゾンのDLで入手。

Sweet Dreams (Are Made of This) / Eurythmics
 やや不気味な曲。「There Must Be an Angel」のさわやかなユーリズミックスと同じとはとても思えない。これはヒット・チャートでも聴いた覚えがある。

On the Radio / Donna Summer
 「マッカーサー・パーク」、「ホット・スタッフ」と名曲も多いけど個人的にはこの曲がいちばん思い出深い。ドナ・サマーのベスト「Summer:The Original Hits」から。

She Blinded Me with Science / Thomas Dolby
 邦題は「彼女はサイエンス」。ユーリズミックスもそうだけど意外と不気味な曲が多かった気がする。前掲の「Eighties 2」というオムニバス・アルバムに収録されている。

Electric Avenue / Eddy Grant
 この人がどんな人かはまるで知らない。でもこんなタイトルの曲は他にあり得ないので結構簡単に見つけることができた。「僕たちの洋楽ヒットMore Deluxe 1983-85 Vol.7」収録。ジャンルはレゲエということになってる。

Do You Wanna Funk ? / Sylvester
 このアーティストについても何も知らない。ヒット・チャートでも聴いたことがない。でもディスコでは何度も聴いた。アマゾンのDLで購入。

I.O.U. / Freeeze
 もしかすると映画「ビバリーヒルズ・コップ」の影響を受けてるんじゃないかと今なら思う。これはCDを持ってた。いつ頃買ったか覚えてないけどアマゾンに注文したら海外から送られて来た覚えがある。

Let's Get Started / Voyage
 一度だけ行ったことのある六本木のネペンタというディスコで確かショーの始まりで流れたんじゃないかと思う。その後男性のダンサーにほほにキスされた。アマゾンのDL販売で。

Let's Dance / David Bowie
 タイトルから言ってもダンス・ナンバーを意識した曲なのかも知れないけど正直そうダンサブルな曲でもない気もする。「Best Hit 80's」というオムニバス・アルバムから。

Too Shy / Kajagoogoo
 これがデビュー曲だったような気がするけど他の曲は知らない。ヒット・チャートでも上位に来てた覚えがある。やはり「Best Hit 80's」というアルバムに収められている。

Bad Boys / Wham!
 「クラブ・トロピカーナ」とか「ウキウキ・ウェイク・ミー・アップ」とかいろいろ聴いたけどこれがいちばん懐かしい。「ケアレス・ウィスパー」とか今聴くとムード歌謡みたいでちょっと笑える。「The Final」というベスト・アルバムから。

Holiday / Madonna
 マドンナのファースト・アルバムからは何曲かディスコでも流れたけどこれがいちばんいいんじゃないかと思う。個人的にはダンスのリズムにものすごく合ってて踊りやすかった。懐かしくてブックオフオンラインでアルバムを購入。

Fall in Love with Me / Earth, Wind & Fire
 当時すごく気に入っていたけど今回聴き直したらそんないい曲にも思えなくてやや拍子抜けしたところうるさいくらいにボリュームを上げて聴いたら当時と同じように魅力的に思えた一曲。「Let's Groove」もいいけどね。「Premium Best」というベスト盤から。

Lies / Thompson Twins
 これもディスコでしか聴いたことがない。それにこれと「Hold Me Now」しか個人的には知らない。歌詞にJapanとあるんだけどその後に中国風のメロディーが現れて明らかに中国と混同されてる。踊るにはちょっとテンポが速過ぎるけど。彼らのベスト盤に収録されている。

Private Eyes / Daryl Hall and John Oates
 言わずと知れたホール&オーツの名曲。チャートでどれくらいにランクインしたのか知らないけど結構ヒットした「Maneater」なんかより全然いいと思う。「Rock'n Soul Part 1」所収。

Owner of a Lonely Heart / Yes
 とてもキャリアの長いアーティストらしいけどこの曲しか知らない。私見では中森明菜さんの「サザン・ウィンド」の間奏の一部は明らかにこの曲の影響を受けてると思う。「Best Hits 70's 80's 90's Pop Classics」より。

The Look of Love / ABC
 途中で挟まれる女性の声の「goodbye」がなぜだかすごく気に入っている。これも本当によくディスコで聴いた。ひとつ前の曲と同じアルバムに入ってる。

1999 / Prince
 テンションの高さがすごい。しかもそれがずっと持続される。あとプリンス特有のあのごつごつしたドラムだかベースだかの音が魅力的。「4Ever」という彼のベスト盤から。

Gloria / Laura Branigan
 ローラ・ブラニガンというアーティストは調べたら随分前に亡くなっていた。これと「Self Control」という曲しか知らないけど。どちらもよくディスコで流れていた。声量がすばらしい。「The Best of Laura Branigan」に入っている。

Union of the Snake / Duran Duran
 「Hungry like a Wolf」とか「The Reflex」とかいろいろ聴いたけど個人的にはこれがいちばんディスコのフロアに似つかわしいと思う。「Seven and the Ragged Tiger」という彼らのオリジナル・アルバムから。

め組のひと / ラッツ&スター
 新宿のディスコ「G.B.Rabbits」で聴いた中では唯一の邦楽。一度じゃなく複数回流れたと思う。これは踊りやすい上に結構盛り上がる。「Back to the Basic」という彼らのベストに収録されている。

 リストは以上。今思い出したんだけどこの年はまた映画「フラッシュ・ダンス」の年でもあった。「What a Feeling」もよく聴いたけどこれも聴き飽きてしまったので除外。ドラマの主題歌になったのもよくなかった。こんな曲もあったねというご意見がおありなら是非お聴かせ下さい。