指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

ありかなしかで言えば、なしなんだろうけど。

誤解を恐れずに引用すると次のようになる。

(前略)
これは決してレイモンド・カーヴァーの作品を理解するのに役に立つ書物ではない。(後略)

訳者の村上さんの「カーヴァー・カントリーの持つ意味」という、なんて言うか「訳者あとがき」的位置に置かれた文章からの引用だ。実にその通りだと思う。こういうのを読むと、村上さんはこの作品の刊行にあまり前向きではなかったんじゃないだろうかという気もして来る。
タイトルとか全然憶えてないけど村上さん自身にもこの本と同じような、作品にちなんだ場所とかの写真集があった憶えがある。村上さんの作品への冒とくのように思われて刊行当時結構腹を立てだからもちろん買わなかったんだけど、「カーヴァー・カントリー」も同じライン上にある気がする。
ただ、カーヴァーの最初の妻メアリアンとか二度目の妻テス・ギャラガーとかの写真も載っていて、そういうの聞くとちょっと見てみたくなるでしょ。でも見たからと言って何がどうなるものでもない。なんて言うか、あるよりはなかった方がよかったかなと思える作品ということなんだろうな。