指栞(ゆびしおり)

すまじきものは宮仕え。

さまよえるビール。

と言ってもさまよっているのはビールではなくビールを飲む自分だ。最近お気に入りのブラウマイスターが近くの店頭から姿を消してしまい、にわかにどのビールを飲んだらいいかがわからなくなった。エビスは苦すぎる気がする。モルツは香りが邪魔だ。アサヒはスーパードライも含めて必ず感じられる独特の匂いがあり、これが好きな人もいるんだろうけど個人的にはものすごく苦手で店に入ってビールがスーパードライしかないとわかると結構萎える(お好きな方、本当にすいません。)。サッポロは店で飲む生との差が大き過ぎていつもがっかりさせられる。キリンはいろいろあるけど、セブンイレブンとかで手に入るチルドビールは確かにうまい。ただ高くつくしあまりにもはっきりした味と香りなので何かつまみと一緒にという飲み方には適さないように思われる。ビンに口を付けてそのまま三口くらいで飲み切ってしまうのが正しい気がする。あるいはものすごく癖の強いアテを用意してビール対アテというガチの勝負を繰り広げればいいのかも知れないがやってみたことはない。ラガーは現行のもクラシックも何かが違っていて、今のところ一番傷が少なく思えるのが一番搾りという有り様だ。要するに個性がないビールが個性的なビールよりマシだいうことだ。
二十三年にわたってそれなりにこだわってビールを飲み続けてきて、最後に残ったのが一番搾りというのは我ながら寂しい。ほとんどアイデンティティーの危機だ。これではいけないと思ってがっかりするとわかっていながら買う度に別の銘柄のビールを選んでいる。そして案の定がっかりする。このさまよいはまだしばらく続くに違いない。