指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

キリン 樽生ブラウマイスター。

行きつけの酒屋さんの冷蔵庫に、いつの頃からか「キリン 樽生ブラウマイスター」の1520ml缶が並ぶようになった。サイトによると6月8日に出荷が始まった期間限定の商品らしい。専用のビア・サーバーに対応していて、おそらくそれを使うとあのビヤホールのきめ細かい泡が楽しめるのだと思う。ただ、価格は普通の500ml缶を三本買うより、高いと言えば結構高い。

うまそうだな、いつか飲んでみたいな、と思いつつ何となく買うきっかけがつかめなかった。専用のサーバーも持っていないし。でも昨日会社から帰るときビールでも飲もうとその酒屋に寄り、魔が差したのか買ってしまった。

帰宅後、まあサーバーなしでも別にいいじゃん、ということで家人と普通にグラスに注いで飲んでみた。うまかった。すっごく。もう缶ビールなんかとは全然違う。大好きなライオンで飲む生ビールとは若干テイストが違うが、これがお店で「生ビール」と称して出てきたってまったく文句のつけようがないほど、なめらかなのど越しだった。それが自宅で飲めるんだよ。

普段僕ほどアルコールを飲まない家人にも、相当おいしく感じられたらしく、いつもよりたくさん飲んでいた。彼女曰く、普通のビールより炭酸がゆるく、その分飲みやすいということだった。その通りかも知れない。記憶をたどると、確かに店で飲む生ビールはおしなべて炭酸が弱いように思われる。

この数杯のせいで、ふたりともすごく幸せな気分になった。ものすごくリラックスした気分だ。休日の午後、ほの暗くあまり人気のないビヤホールで、静かにジョッキを傾けるときのあの気分だ。

ヤバい、マズい、これはヤバい、と思った。こんなの毎日だって喜んで飲めちゃうよ。まあ毎日飲んだって構わないけど、期間限定ってことは、いつかは飲めなくなるわけだ。つーか、やっぱり何とかして足を洗わないといけない。そしてどうすればあのうまさを日々諦めることができるかと考え、今途方に暮れている。